“あぁ海に出たい。海岸で海風に抱かれたい。”
と、閉じ込められた場所から出られない人は憧れる。
が、海の側で暮らす人は解放されてるのだろうか。
海に出た人は晴れやかなのだろうか。
“あぁ空を飛びたい。高いところから遠くを見渡したい。”
と、俯いてばかりの人は時折眩しそうに空を見上げる。
が、飛行機に乗ってる人たちに不安はないのだろうか。
高いところから見る景色は現実を投射してるのだろうか。
愛溢れる家庭に幸せが詰まってるはずだったのに、自由を奪われたように感じたり、
気ままな生活を過ごしてたはずなのに、突然孤独と不安に襲われる。
生き方の種類が増えすぎて、自分にとってどれが幸せな状態なのか分かりづらい時代になってきた。
夢が沢山あるように見えて、実はどれを取っても現実ばかりが押し寄せてくる感覚。
全くもって、楽なようでしんどい時代だ。
自分の好きな道を選べ、なんて言われるけれど
もう選ぶことが面倒臭くストレスを感じる。
海でも部屋でも空でも地面でも
もうなんでもいいや、なんて思う人もそりゃ増える。
生き方のガイドラインも無くなったので彷徨う人も増えてくる。
僕のカフェに来る人達も大なり小なり彷徨ってる。
自信に満ちた話をする人も長い時間会話をしているとその彷徨ってる部分が見え隠れする。
僕の場合も完全に迷宮にはまったような生活を続けているが、
出口は見えないまでも、
日々の些細な彷徨を感じる時には、上を見上げて原点を思い出すようにしている。
そして、あれこれ考えずに思いついた事を行動に起こす。
昔はもうちょっと慎重に考えて選ぶべき道を決めていたけど、
今は選択肢が多すぎて、答えも多すぎて気持ちが悪くなるくらいだから
意識的に行動を早くしている。
そして、その後ふと考える。
こんな時あの人はどうしてるんだろう。
今のこの時代にあの人はどんな選択をし、どんな生き方をしてるんだろう。
もう知る由も無いけど、僕が尊敬するあの人は僕より充実した生活を送っていてほしいと願っている。