執念
2015.11.27 Friday
それは、その翁の終の仕事だろう。
キリシタン殉教者の子孫である彼は、
幕末期から明治にかけて行われた信徒に対する弾圧により迫害された方々、およそ三千人余りの足跡を全て洗い出し、
そして自身の地、長崎へ弔いの碑を建立しようとしている。
ここ長州萩にも数十人が流され、そして迫害を受け命を落とされてるそうだ。
彼は、この地に眠る数々の古文書、文献を調べあげ、何かしら手がかりを持っている方々の話を聞き歩く為に
数年前から萩を度々訪れ、そして事ある毎にジャンティークへ寄ってくれている。
齢80をゆうに超え、病を煩い、そしていくつもの怪我をしながら、
それでもそんな満身創痍のそぶりも全く見せずに、精力的に動き回るその姿に
ただただ圧倒される。
調査結果を検証する時の発想も、むしろ若々しさを感じるほどに聡明だ。
彼を突き動かす原動力は何だろう。
先祖を思う気持ちだけでそこまで行動できるものなのだろうか。
そんな疑問を持つのも当然な程に彼の行動は凄まじいのだ。
人間の執念というものを、軽々しく口にする事は今までも数えきれないくらいあった。
しかし、本物の執念は初めて見た気がする。
断片的ではあるが、その調査の状況を聞かせて頂ける事があるのだが、
なるほど迫害の内容は、今まで授業で教わったことやテレビでやってるようなものをはるかに凌ぐ状況だったようだ。
今現在世界で起きている凄惨なニュースと何ら変わりない、いやもっと悪かったかもしれない程の迫害。
彼が集めた数々の文献からはその生々しさが伝わってくる。
私もそれなりの年齢になり、今後の人生を考える機会も増えてきた。
先祖の墓参りも、若い頃はさほどの考えもなく拝んでいただけだった気がするが、
最近は先祖がどういう生き方をしてきたのか気になったりもする。
もちろん彼のようにそれを追い求めるところまではいけないが、
もしも自分の先祖が、「浦上四番崩れ」とも称されるほどの弾圧を受けていたと知っていたら。
そして、自分の余命がいかほどかと逆算し始めた時に、どんな心境の変化が訪れるのか。
彼の人生がどんなものだったのかさえ、私はほとんど知らない。
しかし、その執念とも言うべき行動に、
彼が背負ったものの片鱗が見えてるのかもしれない。
果たして私はその年に辿り着いた時にどんな翁になっているのだろうか。
キリシタン殉教者の子孫である彼は、
幕末期から明治にかけて行われた信徒に対する弾圧により迫害された方々、およそ三千人余りの足跡を全て洗い出し、
そして自身の地、長崎へ弔いの碑を建立しようとしている。
ここ長州萩にも数十人が流され、そして迫害を受け命を落とされてるそうだ。
彼は、この地に眠る数々の古文書、文献を調べあげ、何かしら手がかりを持っている方々の話を聞き歩く為に
数年前から萩を度々訪れ、そして事ある毎にジャンティークへ寄ってくれている。
齢80をゆうに超え、病を煩い、そしていくつもの怪我をしながら、
それでもそんな満身創痍のそぶりも全く見せずに、精力的に動き回るその姿に
ただただ圧倒される。
調査結果を検証する時の発想も、むしろ若々しさを感じるほどに聡明だ。
彼を突き動かす原動力は何だろう。
先祖を思う気持ちだけでそこまで行動できるものなのだろうか。
そんな疑問を持つのも当然な程に彼の行動は凄まじいのだ。
人間の執念というものを、軽々しく口にする事は今までも数えきれないくらいあった。
しかし、本物の執念は初めて見た気がする。
断片的ではあるが、その調査の状況を聞かせて頂ける事があるのだが、
なるほど迫害の内容は、今まで授業で教わったことやテレビでやってるようなものをはるかに凌ぐ状況だったようだ。
今現在世界で起きている凄惨なニュースと何ら変わりない、いやもっと悪かったかもしれない程の迫害。
彼が集めた数々の文献からはその生々しさが伝わってくる。
私もそれなりの年齢になり、今後の人生を考える機会も増えてきた。
先祖の墓参りも、若い頃はさほどの考えもなく拝んでいただけだった気がするが、
最近は先祖がどういう生き方をしてきたのか気になったりもする。
もちろん彼のようにそれを追い求めるところまではいけないが、
もしも自分の先祖が、「浦上四番崩れ」とも称されるほどの弾圧を受けていたと知っていたら。
そして、自分の余命がいかほどかと逆算し始めた時に、どんな心境の変化が訪れるのか。
彼の人生がどんなものだったのかさえ、私はほとんど知らない。
しかし、その執念とも言うべき行動に、
彼が背負ったものの片鱗が見えてるのかもしれない。
果たして私はその年に辿り着いた時にどんな翁になっているのだろうか。